今日で彼岸が明けますが、六波羅蜜・六度万行の修行はいかがでしたか。
これから無理のない程度に、こつこつ、続けていきましょう。
さて、今日も宗教書を紹介ましょう。
仏教の中でも、少し毛色が違うのが、禅宗です。
禅の世界は感覚の世界であり、文字にすると真髄から離れてしまうと言われています。
しかし、先人が文字にしたからこそ残っている、とも言えます。
禅の本の中で、最も読みやすいのは「無門関 ( むもんかん ) 」だと、私は思います。
この書物には、短い物語が多数収録されています。
一話は、とても短いので、無理なく読めます。
以前に紹介したかもしれませんが、私は、「南泉、猫を斬る」が好きです。
簡単に内容を書くと、
門人たちが、道場に迷い込んだ猫でトラブルを起こしていました。
そこに南泉和尚が入ってきて猫を捕まえ、「気の利いたことを言ってみよ、そうすれば助けてやる」と、言いわれました。
誰も何も言えなかったので、猫は斬り捨てられてしまいました。
その夜、高弟の趙州禅師が帰ってきたので、南泉和尚は昼間の出来事を話されました。
話を聞いた趙州は、履いていた草履を脱いで頭に乗せ、部屋を出て行ってしまいました。
南泉和尚は、「お前があの場にいたら、猫は救われたのに」と言われました。
「趙州が草履を頭に乗せた意味は何であるか、言ってみよ。それができないのは、危ういことだ。」
さっぱり、わかりません。
理屈で考えても、答えは出ません。
ブルース・リーではありませんが、「考えるな、感じろ」の世界です。
我々日本人には、教えを学ぶより、このような感覚的なものの方が受け入れやすいかもしれませんね。
「無門関」は、超おすすめです。